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応力破壊|セラミックス技術コラム

セラミックス技術コラム

応力破壊

セラミックス材料の強度特性を表す物性として、強度と破壊靭性がある。
ここで、材料の強度を支配するのはき裂であるので、セラミックスのように潜在するき裂の長さによって著しく変動する強度は、物性値ではないという意見もあるが、破壊靭性のみによって材料強度特性を表すことはできない。
なぜなら、長いき裂をもつ試験片の強度は破壊靭性と1対1の対応をもつが、小規模降伏条件を満足しないような小さなき裂をもつ試験片の強度は、破壊靭性によって単純に表すことはできないのである。
このことから、強度は巨視的に定義される物性であると考えるべきである。

ここでは、材料には引張り応力や圧縮応力・せん断応力が働くときの、巨視的な破壊のクライテリオンを考える。
セラミックスのような脆性材料の圧縮強さは、引張り強さの10倍以上になることが多いが、き裂の進展開始は圧縮の比較的初期の段階から生じることが知られている。


マクロ的強度

原子結合の微視的破断には、原子間に引張り応力を与えて原子対を引き離すような破断と原子面間にせん断応力を与えて、すべりにより原子面分離を生じさせるような破断とがある。
このことを、き裂先端について考えると、き裂は一般的には、き裂先端での原子結合の引張り破断、または、すべりによるせん断によって伝ぱする。

しかし、ここで考えているイオン結合や共有結合よりなるセラミックス材料では、すべり発生はきわめて制限される。
よって、このような脆性材料のき裂に対して、せん断応力によるモードⅡまたはモードⅢ負荷が作用する場合にも、すべりによる原子面分離ではなく、き裂先端の最大エネルギ解放率方向への引張り破断が生じると考えられる。

すなわち、脆性材料のマクロ的な破壊はき裂の伝ぱにより生じるが、材料のき裂伝ぱ抵抗としては、き裂面に引張り応力の働くときのモードⅠ破壊靭性、き裂面にせん断応力の働くときのモードⅡ、モードⅢ破壊靭性とがあり、セラミックスのような脆性材料においては、これらの負荷モードにおける原子結合の切断は、いずれもき裂先端において引張り破断によって起こると考えられる。

すなわち、負荷モードの違いによらず、き裂先端の原子の分離は引張り破断により生じる。
そして、これらの三つの破壊靭性が、材料のマクロ的な強度を支配する。



参考文献;セラミックス材料強度学/コロナ社

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