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有機珪素化合物の液含侵とその熱分解によるSiCおよびSi3N4の生成 |セラミックス技術コラム

セラミックス技術コラム

有機珪素化合物の液含侵とその熱分解によるSiCおよびSi3N4の生成

現代の化学では、多くの有機珪素化合物が提供されており、それらを熱分解することによって珪素セラミックスが合成されている32~41)(Table1)。技術的観点からみると、製造工程で液相を用いることができるなら、繊維強化珪素セラミックス複合材料を作製する上でいくつかの有利な点がある。この方法では、化学的侵食あるいはせん断応力による如何なる繊維の損傷も無しに、繊維とマトリックスとの十分な濡れ、接着、接合が達成できる。特に、有機珪素高分子前駆体の熱分解で、バルクのSiCやSi3N4の作製ばかりでなく粒状、ウィスカーあるいは繊維を作ることができることが示されている42~45)
 シラザンや高分子有機珪素化合物を多孔質なRB-SiCやSi3N4に浸みこませ、その場で熱分解させることにより、元のセラミックスの高温酸化特性やクリープ特性の向上ばかりでなく、密度や強度を大幅に向上させることができる(Table1)45~48)。これらの実験結果に基づいて、有機珪素化合物の含浸とこれに続く熱分解によるSiセラミックスの製造工程を以下のようにまとめることができる。
(1)少量のバインダーで、多孔質な繊維の骨組み構造を作る。
(2)オートクレーブ中で出発複合体を脱気する。
(3)試料に高温・高圧で(800 K、40 MPaまで)溶液を含浸した後、重合する。
(4)含浸試料を取り出し、固める。
(5)高温(T = 800から1300 K)、不活性雰囲気で有機珪素マトリックスの熱分解を行う。
(6)これら(2)~(5)の工程を繰り返す。
(7)焼鈍する(T =1300から1800 K)。
第1の工程では、C / C複合材料の作製の時と同様に化学的に十分安定で繊維の配向の決まった炭素結合した多孔質な繊維の骨組み構造が形成される。これをオートクレーブ中で脱気し、780 K以下の温度で前駆体を溶融して含侵する。この過程で窒素あるいはアルゴンの圧力は、初めの2 MPaから40 MPaに上昇する。温度の上昇に伴いオリゴマーのシランはポリカルボシランに変わり49)、同時に高圧によって重合する。含浸試料を冷却後、取り出し、固め、溶剤処理をする。第5の工程ではオートクレーブに入れ、不活性雰囲気高圧下で1300 Kまで上げ、マトリックスを熱分解させて炭化珪素に変える。高密度で高強度を得るためには、2から5の工程を繰り返す必要がある。最後に、SiC含浸繊維強化試料をマトリックスが最適な結晶構造をもつように焼鈍することができる。
 Fig.18にポリカルボシランの各種熱分解条件によって得られた種々のSiCの密度を熱分解温度の関数として示してある50)。得られたβ-SiCの最高密度は、1400 ℃の熱処理によって得られている。炭化珪素の理論密度は3.2 g/cm3である。Fig.19には、1200 ℃まで熱処理したβ-SiC試料の破面が示してある。得られたβ-SiCの結晶構造に与える熱処理の効果は、Fig.20に欠陥のない長さ(いわゆる結晶子の寸法)として示してある。









焼結-ケーススタディ 宗宮 重行・守吉 佑介 共編

 

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