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セラミックスの寿命と破壊(2)|セラミックス技術コラム

セラミックス技術コラム

セラミックスの寿命と破壊(2)

セラミックスの結合は、純粋のイオン結合(例:MgO)か、純粋の共有結合(例:SiC)か、あるいはそれらの中間の状態(Al2O3, SiO2)にある。
これらのどの結合も金属結合と同様に1次結合結晶を形成する。
したがって、第一に期待されることは金属と類似性-すなわち高い強度と高い融点である。

一方、プラスチックでは1次結合は分子内に存在し、その分子は、より弱い2次的な力により凝集している。
腐食食性はまたセラミックスの化学に直接由来する。
セラミックス中に存在するどの金属原子も、 すべて完全に酸化された(あるいはイオン化された)状態にあるので、それ以上化学的にアタックされない傾向にある。
鉱石から金属を精錬するとき、我々は化学的にイオンを原子化する。
金属原子はその自然の熱力学的な傾向として、再酸化され、特に反応速度の大きい高温で 金属コロイドになりやすい。
しかし、金属に対するこの一般法則はセラミックスに対して、完全に免除されているわけではない。
金属酸化物は、水と反応して水酸化物を、また酸と反応して塩を作りやすい。
本書の第3章では遅れ破壊現象を学ぶが、これは水分が支配的役割を演じる腐食機構によるものと考えられる。

セラミックスの靭性が極めて低いのは、延性がほとんど零に等しいからである。
金属やプラスチックスにおいては、亀裂先端の塑性流動が応力を緩和し破壊に至るのを防いでいる。
セラミックス結晶中の転位は金属結晶のそれと比べると、ほとんど動けない。
共有結合結晶では、結合に強い方向性があるため、転位は大きな歪エネルギーを有する。
そのため、転位はピンどめされたまま動くことができない。
イオン結晶の転位も、最近接原子としてすべり面にイオンを含む場合、固定されたままとなる。
したがって、低温では結晶の任意の変形に対して、不十分な独立すべり系が生じる(フォン・ミゼス則) 多結晶のイオン性材料の結晶粒は応力を受けても変形しにくいために、粒界にボイドを生じ、破壊の原因となる。
高温では延性的となり、塑性変形により破壊が生じる。

しかし、セラミックスは必ずしも(あるいは通常といった方が正しいが)完全には結晶性を示さない。
多くはガラス相を含んでいるので、変形等を転位の項で説明するのは不適当である。
延性の欠如は、強い1次結合のためであって、ガラス転位点に達するまで 粘性流動を起こさない。
そのためセラミックスは、とにかく使用に供するには脆弱すぎるのである。



セラミックスの寿命と破壊  松尾陽太郎 編訳

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